「もう高校生か……」



桜がひらひらと舞い落ちる中、私はぽつりと呟いた。



まだ着慣れていない新品の制服、新しいスクールバッグに見慣れない顔。



何もかもが新しくなった今日。

私、花崎美歌は高校生になった。



制服、ちゃんと着こなせてるかな…



私は身長は小さいという選択肢にはきっと入らないけど顔は童顔。




そのせいで制服が変に見えたら嫌だな。




不安が積もる中私はクラス票を見に行こうと歩き出した。



周りの子達はもう友達ができたみたいで楽しそう。




私は自分から話しかけるのはすっごく苦手ではないけど固まってるグループに入るのは流石に勇気が必要。




みんなが固まる前に友達作らなきゃ。




でもみんな友達ができていて作れなかったらどうしよう。



私のこのネガティブに考える癖は中学からなかなか直らない。




直さなきゃいけないのはわかってるけど…




「まって、そこの貴方。」



私かな…


そっと振り向くと見覚えのあるハンカチを持って私に話しかけていた。



「これ、落としたよ。
貴方のでしょう?」



それは確かに私のハンカチ。
私はそれを静かに受け取った。





「…わざわざありがとう。
えと、名前なんて言うの?」


 

ちょっと直球すぎたかな。


少し不安になるとその子はすぐに微笑んで答えてくれた。





「木村凛花よ。

貴方は?」






「私は花崎美歌…

美しい歌って書いてみかって読むんだ。」





「そうなんだ。
たしか私のクラスに美歌ちゃんの名前があったはず。
同じクラスだね。これからよろしくね!

あ、私のことはりんちゃんとか、凛花とかなんとでも呼んで。」





にっこりと笑った凛花ちゃんは可愛くてまさに“女の子“って感じだった。



腰の近くまであるストレートの髪の毛にくりんとした目、長いまつげ。


なんか、いい匂いもするような気がする。



きっとモテるんだろうな。
彼氏もいそうだなぁ。




それに比べて私は恋愛経験ゼロで、初恋もまだ。




中学の時みんながキャッキャ言いながら楽しそうに恋バナをしてるのを私は見てるだけだった。




「教室行こう?」



そう言われてて手を引かれるがままに私達は教室に向かった。




教室に入るとやっぱりグループみたいなものが結構できていた。




よかった、ハンカチのお陰で友達ができて。




でもこれから沢山作っていくんだから。