下町退魔師の日常

 それから暗くなっても、宴会は続いていた。


「それにしても、みんなタフだよねぇ・・・」


 も、唐揚げとか卵焼きとかフライドポテトとか、たくさん食べてお腹いっぱいだわ。
 あたしの退院祝いの筈なのに、何故かあたしはいつもの通りに番台に座ってサスケを膝の上に乗せながら、みんなの事を眺めていた。
 いつの間にか久遠くんは、近所のマダム達に囲まれて話相手をしているし。
 でも、あたしには、言わなきゃならない事があるんだ。
 和気あいあいとしているみんなには、申し訳ないけれど。


「ねぇみんな、聞いて・・・ううん、聞いてくれますか?」


 あたしは、みんなに話し掛けた。
 宴会をしていたみんなは、一斉にこっちを向いた。
 入院している間、ずっと考えてたんだ。
 一度町の人達と、ちゃんと話をする必要があるって。


「先ずは、ちゃんとみんなにお詫びが言いたいの。心配かけて、ごめんなさい」


 番台から降りて、あたしはみんなに頭を下げた。
 そして顔を上げる。


「あのね、みんな分かってると思うけど・・・あたしが今回こんな怪我をしたのは、あの祠から出て来たものと戦ったからなの」


 さっきまでとは打って変わり、休憩室は一気に静まり返った。
 そりゃそうよ。
 だって、この話を持ち出すのは・・・この町では、タブーなんだから。
 ――でも。


「ごめんね。この話をするのはいけない事だって、小さい頃からじいちゃんにキツく言われて来た。でもね、何か知ってたら教えて欲しい。何でもいいの。あの祠の事と、鬼姫の伝説の事を」


 みんなの顔を見渡す。
 町の人達は一様に、複雑な表情を浮かべている。


「あたしはこの町の退魔師。そうあることに不満はないの。だけど今回、あたしが未熟でこんな怪我をしたから・・・みんな本当に、不安にさせたと思う。だけどこのままじゃ何も変わらないよ」


 分かって欲しい。
 その想いを精一杯込めて、あたしは訴える。