「ならいいけど」と真央はポケットに両手を突っ込んだままの姿勢で、じっと前を見ていた。
眠そうな瞼にむっつりとした表情。
鮮やかな茶髪に耳開いたピアス。
着崩した制服。
見た目は怖そうに見えるけど、本当は誰よりも優しいんだって、一緒に暮らして解った。
前髪やサイドはワックスでばっちりセットされているのに、後ろ髪の一部が跳ねている。
玲央さんと同じ寝癖に、思わずフフと笑いがこみ上げて来た。
「・・・思い出し笑いとかキモイんだけど」
冷めた視線で見られて、ムカついたので、寝癖のことは教えてあげないぞと誓った。
「終わってみると、呆気なくて、フシギな片想いだった」
コンビニの前を通って、前方にタコのすべり台が見えて来た頃、独り言みたいにぽつりと呟いた。
「フシギ?」
隣を歩く真央が相槌を打つ。
「だって、好きな人がママの恋人で、みんな同じ家に住んでるんだよ?失恋しても毎日顔を合わす関係って、やっぱりフシギとしか言い様がないよ」

