「意地を張って、たまにママに反抗して、結局ママの方が一枚上手で、ヤキモキした気持ちは外に出せないまま、心に閉じ込めて、本当、悪循環だよね・・・私、嫌なことがあると、ママから距離を置いて、自分の気持ちに諦めが付くまで待つことしか出来なかった」


でも、それって一時的な治まりで、小さな不満が塵のように積もってたって、倒れて初めて気が付いた。


仕事で忙しいママを気遣う振りをして、本当は本音でぶつかり合うことから逃げていただけだったんだ。


「仕事バカ、母親失格、娘の前で若い彼氏とラブラブで見てて、恥ずかしい」


「八方美人、なまけもの、えっと、後は・・・」


思いつく悪口を並べて、挙げていく。


言葉に詰まり、他に何かなかったかなと考えていると、背中を向けていたママが、急に寝返りを打った。


「言いたかったことはそれだけ?」


まだあるけど、急に思い浮かんでこないだけだ。


ぶるると首を横に振る。


ママはムッとした表情を見せた後、ぐっと私を抱きしめた。


真央とは違ったいい匂いがした。


忘れかけてた懐かしいママの匂いだ。


「寂しかった」

「家に帰ると独りぼっちな気がして」

「ママに傍にいて欲しかったの」