夜中にトイレに起きたついでに、ママの部屋の扉を開いた。


草木も眠る深夜2時、家の中は静寂に包まれている。


ベッドサイドにある読書灯の小さい灯りだけを付けて、ママは寝息を立てていた。


そのまま、ママのベッドに潜り込む。


「・・・美雨?」


眠気眼のママが、気配を感じたのか小さな声を洩らす。


私はママの背中越しに話しかける。


「お願い、そのまま背中を向けててもらえるかな?眠かったら寝ちゃってもいい。私が勝手に、今から独り言を言うから」


コホンと咳をし、気持ちを落ち着かせる。


何も言わないママの背中にゆっくりと話しかけた。


「病室での、ママと真央の会話、本当は全部聞いてたの。寝たふりしててゴメンね」


ピクリとママの体が強張った気がしたけれど、構わずに話を続ける。


「真央がね、私のことをママに話してる時、始めは嫌だなって思った。ママの前では、大人でクールで、手のかからない美雨を演じたかったから。真央に話してた本音がママにばれたら、きっと嫌な子だって思われそうで」


「でもね、真央が私のことを思ってママに話してくれてるんだって気付いたら、モヤモヤしてた気持ちが少し楽になったんだ」