「いや、それは違うよ。理乃ちゃん。」
学校一頭のキレる男子、今川が言った。
今川は普段はおとなしくしているが、彼の瞳にはいつも、闘争心が宿っている。きっと、その性格が、彼を学年トップまで、引き上げたのだろう。
いつも、彼は人の間違いを素早くしてきしていて、皆からはあまり好かれているほうではないが、こういう時にはいてくれるとものすごい助かる。
「ん?どういうことだ?」
即座に僕が切り返した。
「だって、小山君は明石さんを好きだったのだから、キスをすれば最悪彼女の唇を切って、生き残ることはできる。でも、彼女はどうだ?彼をひどく嫌っているそんな彼女が彼とキスをしたくなるとは思えない。よって、彼女は自分の唇を失うか、彼と一緒に失うかのどちらかということになり、彼女が助かる道はない。」
「…!!そんな、不公平じゃない、あたしだけ助かる道がないなんて!私が唇を失ったら何人の男どもが悲しむと思ってるの!?小山の唇なんてなくなったって誰もかなしまない。むしろあんなキモイやつの唇なんてなくなった方がいいぐらいだわ。でも、私はダメなの!!」
明石が声を大して言う。皆がとうとう本性を表したと言わんばかりの顔をしている。彼女を罰を受けていない。きっと本心なんだろう。僕は悲しくなった。やはり、人間は醜いのだろうか。人間に一筋の希望を見いだしたとしても、それはすぐに打ち砕かれてしまうものだろうか。