俺と黒川さんが初めて出会ったのは、 4月のある日だった。 2年生のスタートを切り日も浅い というのに─── やべぇ、遅刻ギリじゃねぇーか…! 俺はものすごい勢いで走っていた。 昨日の夜、大好きな作家の新作に読みふけっていたら… ………寝坊した。 「つーか、遅刻かも…」 腕時計を見ながら呟いた。