なんて柄にもなく思ってみたり。
本人に間違っても“好き”なんて言えないけど。
思ってるだけでも伝わって?
「どしたの蘭子?ボーッとして。疲れた?」
「あ……なんでもない。ちょっと考え事」
「え?何、それって俺のこと考えてたんでしょ!?嬉し~♪」
「ちょ、あたし何も言ってないし。自意識過剰過ぎでしょ」
「ひっでー!」
そう言って、あたしの手をしっかり握ったまま走り出した。
走る度にパシャパシャと水飛沫が飛ぶ。
夕日が反射してキラキラ光ってる。
冷たいし、走りにくいけどなんかすごく楽しい。
諒哉と付き合ったこと……間違いじゃなかったな。
「はぁー!!疲れた!もう、すっげー心臓バクバクだし肺痛いわ~」
「あたしより体力ないんだね」
「うっせ」
うん、ほんとに案外体力無いね。
ニヤッと笑って「仕返し」とデコピン。
「楽しかったねー蘭子!また来よう?」
「気が向いたらね」
アンタとなら、きっとどこでも楽しい。

