軽く受け止めてた俺は曇り空の早朝、銀本人から話を聞いた。
「……蘭子ちゃんと二人で帰った?」
「そう。あの子案外面白い。好きになりそう」
「へぇー……銀が珍しいじゃん!俺とライバルになるか~!」
「諒哉は真夕美さんにまだ未練あるんだろ?」
「だから、憧れだって言ってんじゃーん」
どーせ、銀のおふざけ。
そんな風に思って、横にいる銀をチラッと見ると真面目な顔で本気の眼差し。
嘘、だよな?
「銀、冗談キツイぞ。いくらなんでも」
「真夕美さんにまだ気があるなら、引地のこと諦めろ。目移りしてる諒哉に引地を幸せに出来るか?」
「俺、目移りしてねぇし」
その瞬間、銀の右手が俺のワイシャツのいれ首を掴んだ。
こんなこと……初めてだ。
今まで一緒にいたけど、銀が仲間内にキレるのってない。
「お前、引地の感情気付けよ」
「はぁ?手、離せよ」
「引地……お前のこと好きなんだぞ?なのに、他の女といて不安にさせて……苦しめて…どうすんだよ」
「蘭子ちゃんが俺を……好き?」
そんなこと………
すぐに銀の拳が飛んできて俺の顔を掠めた。

