俺は無意識に小さな後ろ姿、背中にぎゅっと抱きついた。


そして本気で伝えたかったことが、今なら言えるよ。



「………すげー好き」


そんな声も、電車の音に掻き消されて蘭子ちゃんに聞こえたんだかどうか……。


困らせるのはヤダから、ゆっくり腕を離した。



「じゃっ……また明日!」

「ん……また明日。あのさ」

「何?」

「今日は……ありがと。桜井くんのおかげで助かった。認めたくないけど」

「相変わらずツンデレのツンが多過ぎ!少しはデレてほし~」


俺からぷいっと顔を逸らして、電車に乗ってしまう。


でも……“俺のおかげ”か。


蘭子ちゃんに言われるの悪くない!!



「ばいばーい!!」


おっきく手降った。


ちょっとは隙間縮まったらいいな~。