卒業式は校長のながーい話を聞いて、クラスで一人だけ代表が卒業証書をもらいに行く。


三年間もいたけど、まだ知らない顔がたくさん。



よく俺が学校辞めなかったなぁ〜。


入学が決まった中学ん時、銀にお前が一番最初に辞めそうだって言われたけど……


その張本人が学校辞めたじゃんか〜。


多分………ほんとなら、きっと銀が隣に座ってたんだろうな。



周りが泣き出す中、俺のクラスは退場して体育館から出た。


俺は教室に戻る昇降口で列から外れて、待ってるとほら来た!


女の子がみんな泣き崩れる中で、相変わらずポーカーフェースの蘭子!!


「一人だけ涼しい顔してんなぁ〜」

「だって泣けないし」

「蘭子らしくていいじゃん?俺はそんなヤツのこと好きなんだけど」

「じゃあ、今からあたしのこと感動させて?」

「やってやろうじゃねぇの!」



二人で手を繋いで卒業式の列を抜け出した。


人の流れに逆らって階段を降りて、誰もいない廊下を歩く。


俺らの足の音だけが響いて、寂しさが増す。


「諒哉、どこ行くの?」

「ん〜?分かんね。特に当てもない」

「そんなんで、あたしのこと感動させられるの?」

「我慢すんなよ。もう、泣きそうなくせに」

「はぁ?泣かないし……っ」



蘭子が両手で顔を覆って俯いた。