【諒哉side】



この間、蘭子が俺に溢したこと。


元カレがしつこい。


蘭子に元カレがいることは、前々から聞いて知ってたけど………


まさか、そこまでしつこい男だとは知らなかった。


このまま、何もなきゃいいな………。



「諒哉…?」

「あ!蘭子~!帰ろっか!」

「うん。……大丈夫?」

「ん?」

「珍しくボケっとしてたから」


「大丈夫」と笑って誤魔化した。


今、一番不安なのって蘭子じゃん?


俺がこんなこと考えてたらダメだ。


もしも、なんかあった時は俺が守ってあげなきゃだし。



靴を履き替えて先に下駄箱から出ようとした蘭子が急にピタッと止まった。


「どした蘭子?後ろ詰まるぞ~」

「……え、あ、ご、ごめん……」

「……誰かいたのか?」


ぎゅっと俺の腕にしがみついて、目を伏せて震える声で言う。



「アイツが……元カレが、いる」