鍵を開けて家に入り、真っ直ぐ部屋に行った。


制服のまま、バフッとベッドに倒れ込むとシーンとした空気に飲み込まれてしまいそう。



せっかく良い一日で終われそうだったのに、ショウのせいで台無し。


軽くため息をついてから、ゆっくり目を閉じた。


ショウに会ったせいか、嫌な中学時代の記憶がよみがえる。


なんでよ………。



嫌で嫌でしょうがなくて、目を開けてスマホを持ち電話帳を開いた。


あ行の最初にいたのが、ありす。


着信ボタンを押してまた目を閉じる。


『もしもし蘭子ちゃん?』

「……ありす。眠たい」

『え!えっと~……寝たらいいと思うよ!お家にまだ着かないの?』

「部屋のベッドの上にいる」

『そうなんだっ!で、でも……なんだか嬉しいかも』


電話越しでも分かるありすの笑った声。


やっぱり、ありすの声聞いただけでも安心するわ。


『だって、蘭子ちゃんから連絡くれることないもの!一緒にお話しましょ?』

「……そうだね。ありがとうありす」

『へっ?』

「あたし寝るわ。勝手なことしてごめん。……ありすの声聞いて安心したから寝る」

『ふふっ。おやすみなさい♪蘭子ちゃん』



ありすは優しい。


あたしにここまで優しくて、安心させてくれる友達はありすが初めてだ。