結構高めの塀がある。


俺はその塀に一目散に走って飛び乗り立ち上がった。


塀の真下にはテトラポットがあって、その奥は海が果てしなく広がってる。


海を見渡せる絶景スポット!!


………だと、俺は思い込んでる。



「蘭子もおいで?上れる?」

「そこまで運動音痴じゃない。……意外に高さあるし」


蘭子の手を引っ張って塀に立たせると、俺の制服の裾をきゅっと摘まんだ。


手繋ごっか。


そのまま塀を歩いて夕陽落ちかけのオレンジ色に染まる海をジーっと見詰める。


「キレイだね。海。ここも、悪くないじゃん」

「だろー?むしろ、俺はこっちのが好きだね。蘭子は?」

「あたしもこっちがいい。なんか………嫌なこと全部忘れられそう」

「なんか嫌なことされてんの!?」

「や、何も。諒哉の威圧のせいか何もされないよ」

「それはよかった♪」



蘭子になんかあったら気が気じゃねぇもん。


俺が殴られるよりも、蘭子が苦しんでる方がよっぽど痛い。


それぐらい俺はお前に惚れてんの。


「蘭子のこと好き過ぎて倒れそう」

「倒れてろ」


冷たく言いつつ、ピンクに染まる頬。


ずっと隣にいたいな………。


って俺らしくないや。