【蘭子side】



ザーッ────────



こんな雨の日には諒哉に告白されたのを思い出す。


ちょうど1年前か………


あたしが諒哉に恋したのは。



「どしたの?ボーっとして」

「ん?雨降ってるなーって」

「ははっ、それだけ~?」


なんて笑いながら空き教室に入ってくる諒哉。


昼休みの空き教室の静かな空間は、二人だけの時間。


これが、すごく特別に感じる。



あたしと同じように窓の外を眺めてる諒哉の横顔を見詰めてみる。


わっ………コイツ黙ってたら普通にイケメン。


「ん?飲みたいの?」

「いや、いい。いらない」


傾けられたパックの牛乳。


あたしそもそも牛乳苦手だし。


飲み物がほしいわけじゃない。


「なんか買って来てやろっか?」

「いらないってば。今日の諒哉は気遣いハンパないね」

「俺いつも気遣いハンパねぇよ」

「嘘だ」

「……だって今日、付き合って1年じゃん」


照れくさそうな横顔。


アンタはいつも気遣いすごいよ。