隣で涙をポロポロと溢しながら、舞が小さく呟いた。


「昔の諒ちゃんと全然違うんだもん…。舞の知ってる諒ちゃんじゃない……」

「諒哉は校内トップで、金髪で、チャラくて」

「……うん」

「ろくでなしかと思ってたら全くの大違い。優しくていつも守ってくれる」


今なら照れないで言える気がする。



「そんなところにあたしは惚れた。好きになった」

「いいな~……諒ちゃんに愛されてるんでしょ?」

「多分ね。だから、アンタも全力で惚れさせてくれるような男見付けな」

「惚れさせてくれる人か……」


あたし偉そうなこと言ってるけど、普段は不器用で可愛くないから。


直接本人になんて言えた試しないけど。


それでも、あたしは諒哉に全力で惚れてる。



「蘭子!」

「あ、諒哉……」

「ったく心配かけんなよなぁ~!あーほら!制服ちゃんと着なさい!」


あたしのブラウスのボタンをかけて、制服を直してくれる手。


その拳は血が付いてて痛々しい。