バレンタイン前日の教室で、盛り上がる女子達。
すでにチョコ持って来て食べてるから、教室内はチョコと香水の匂いが入り交じる。
ちょっと気持ち悪い………。
「ん~……蘭子ちゃーん。ピンチ!」
「なんかあったの?」
「バレンタインに作る物がまだ未定なのですよ。ピンチ!ピンチ!」
「……そうなの」
「テキトーすぎだよ~!」
ありすが作るお菓子は基本的に、おいしいから悩む理由がイマイチ分からない。
まぁ、でも………
他の女子に勝ちたいとか、きっとそうゆう理由でしょ。
みんな同じ。
「蘭子ちゃん何作るの?」
「チョコクッキー。あたしの得意料理」
「あたしも蘭子ちゃんみたいに得意料理ほしいよ~!」
「ありすにもあるじゃん。ケーキとか」
自信なさげな瞳があたしを見詰める。
ありすが作るケーキはほんとにおいしい。
「ほ、ほんとにあたしのケーキおいしい?」
「もちろん」
「じゃあ……そうするっ」
笑顔でスマホをいじりレシピを探す。
音瀬愛されてんね。

