びっくりした顔でバっと俺を見上げる。


付き合ってる彼氏からいきなり言われるんだから当たり前か……。


「ちょっ、いきなり何?勝手過ぎ」

「少しの間だからさっ」

「意味分かんない……。なんかあったの?」

「なんもねぇよ。ただ、蘭子が危険な目に合わないようにって」


頭を撫でてやっても不服そうな顔。


納得してねぇな……これ。


抱きしめようとすると、手を振り払うようにして空き教室から出てってしまった。



ごめん。


こんな形でしか守れなくてごめん。


好きだから、傷付くの嫌なんだ………。



「思いっきり機嫌損ねさせたな」

「うわ~。銀って悪趣味。人の話盗み聞きか?」

「ここに用あったんだよ。てか、何も聞いてないから盗み見」

「どっちにしろ悪趣味!」


そんな銀も今日はなんか変。


こう………顔に元気がないってゆうか。


冷徹男子の面影すらなくなってる。



「俺も……さっき、ありすのこと泣かせた。嫌だけど諒哉と同じ」

「……守るって難しいな」


ごめんね、蘭子。