「唯ちゃん!!」
不意にあたしを呼ぶ声が聞こえ、飛び上がる。
どうして……
どうしてここにいるの?
思わず横を見る。
すると、青いパーカーに黒いジーンズを穿いている蒼がいて。
さっきまでは不敵な面で睨んでいたのに、今は驚いたようにあたしを見ていて。
「なんで……
なんで泣いてるの?」
掠れる声でそう聞いた。
やめて、そういうの。
離れられなくなる。
「もう終わったの?」
そう聞くと、
「用事って言って抜けてきた。
あとはどうにでもなるよ」
どうにもならないのに。
蒼がいないと駄目じゃん。
あたし、本当にいけない女だ。
こうやって蒼の仕事にまで迷惑をかけて。
でも、目の前に蒼がいることが嬉しくて。
離れたくないと思ってしまう。



