「唯!悪いな、好き勝手やって」 声が聞こえ、あたしの隣の椅子に賢一がどかっと座る。 「ううん、あたしこそ邪魔で……」 慌ててそう言ったが、賢一はそれを否定する。 「唯がいると、蒼は頑張るからな。 今日もすげーいい演奏した」 そんな言葉が嬉しい。 あたしがいると頑張れる。 それ以外の褒め言葉なんてないよ。 「賢一は蒼をよく知ってるんだね」 そう言うと、 「当然だろ。 ずっと仲良くやってんだから」 得意げに笑った。 「ま、蒼は唯にベタ惚れだし。 こんなこと、あの時以来だな」