そんな部屋のソファーに座る俺。
そして、無造作に本棚にある漫画を取り出して読もうとする。
すると……
その漫画をパサッと取り上げられる。
代わりに渡されたのはなんと楽譜で。
顔を歪めて見ると、『白夜』と曲名が書いてある。
「俺、実は大学時代の友達とライブするんです。
そして、その娘も来てくれるみたいなんです。
でも、どうしても出来なくて……」
ますます居心地の悪い俺は、顔を歪めて俺の髪をくしゃっと触っていた。
「明後日なんです!
彼女にみっともないところを見られたくありません!
戸崎さん……」
俺は中山に弱い。
普段は俺を散々にけなすのに、肝心な時だけ泣きつく中山に弱い。
助けてあげたくなる。
……俺は本当にドMだ。
「俺でいいなら……」
俺はまた、得意のお人好しを発揮していた。



