俺はいちごミルクに口をつける。
この甘い味が大好きだ。
F結成の頃、優弥に甘党卒業しろと言われていた。
だけど、やめられなかった。
俺にギター。
俺に唯ちゃん。
俺にいちごミルク。
「戸崎さん」
不意に声を呼ばれ、ふり返る。
そして、思わず目を開いた。
なんと、そこには中山がいて。
真っ赤な顔で俺を見ていた。
中山がこんな顔をする話題はただひとつ……
Fだ。
Fの大ファンと言ってくれた中山。
それは嬉しいけど……
俺は中山のこの視線に弱い。
「な……中山クン、どうしたの?」
身構える俺。
だが、中山の口からは想像もつかない言葉が飛び出した。
「好きな娘がいるんです」
「え?」
思わずぽかーんと中山を見ていた。
中山は真っ赤になって俯く。
「それで、戸崎さんに恋愛テクを伝授してもらおうと思って……」



