舞台袖へと移動する俺たち。 みんなが緊張で黙っていた。 そんなみんなを宥めるのが戸崎さん…… だと思っていたのに…… 「と……戸崎さん…… 大丈夫ですか?」 先輩たちが青ざめた戸崎さんの背中をさすっていた。 戸崎さんは一点を見つめ、掠れた声を出す。 「……怖い……」 信じられないその声。 戸崎さん、どうしてしまったんだよ!? 「間違えたら……どうしよう」 冗談じゃない! 「みんな、見てる」 見られるの、慣れてるだろ!! 先輩たちは明らかにうろたえていて。 棄権しようかなんて言いだす。