ー蒼sideー 誰もいない小さなロビーに、俺は唯ちゃんのお父さんといた。 俺に背を向けて立っているお父さんは何だか小さく見えて。 大切な唯ちゃんに手を出してしまって申し訳ないなんて思ったりもした。 だけど、俺は後悔しない。 心に決めているから。 後にも先にも唯ちゃんだけだと。 「今日は、本当にありがとうございました」 俺は再びそう言っていた。 俺はきっと憎い奴なのに、Fの仕事を引き受けてくれた。 そして、散々にぶち壊すことも出来るのに、俺たちの撮影に正面からぶち当たってくれた。