「忘れられねぇっすよね。 紅さん、本気だったから」 優弥さんはそう言って、紅さんの頬に手を当てる。 紅さんは涙ぐんだその顔を上げ、優弥さんを見た。 「なによ、優弥ちゃんのくせに」 そう言って、蒼みたいに頬を膨らます。 「でも、他にも紅さんのことを見ている奴、いますよ?」 「優弥ちゃん、とでも言いたいの?」 「はい」 その瞬間、部屋がしーんと静かになった。 紅さんは目を大きくして、優弥さんを見ていた。