思わず聴き入っていた。 その感動の演奏に。 胸がドキドキして、そして温かい。 碧のイメージが崩れるのは怖いけど、みんなに知ってもらいたい。 蒼にはいいところがたくさんあるんだと。 夢中になっていたあたしは、来訪者になんて気付かなかった。 ……彼女が大声を出すまでは。 「いい加減にしな!!ガキ共!!」 その声はスタジオを突き動かし、恐怖へと突き落とす。 蒼はマイクで顔面を打ち、慎吾はピックを落とした。 賢一は間違えてクラッシュシンバルを強打して…… 優弥さんに至っては、弦が切れていた。