そんな光景の中…… 「紅ーッ」 男の声が聞こえ、猛スピードで斜面を降りてくるスキーヤー。 華麗なシュプールを描き、雪しぶきを上げて紅さんの隣に到着する。 「紅、この人たちは?」 彼はそう聞き、 「あたしの弟と、彼女と友達」 紅さんは笑顔で答える。 そして、あたしたちに向き直ってこう言った。 「紹介するわ。 あたしの彼氏の、たーくん」 たーくんと呼ばれたスキーヤーはおどおどと頭を下げた。