「何言ってんの?」
紅さんははははと笑った。
そうやってあたしの醜さを笑い飛ばしてくれるのはすごく嬉しい。
でも現実問題、気になるんだ。
蒼は本当にかっこいいから。
「確かに蒼、昔から苦労してたね。
リコーダー舐められたり、パンツ盗まれたり」
え……
思わず固まったあたしを見て、紅さんは再び笑った。
蒼みたいな優しい笑顔だ。
「唯ちゃんはそれで十分だと思うけど。
でも、どうしてもというなら、教えてあげる」
そう言って紅さんは大きな鏡と化粧品の箱を取り出した。
「女の子は、お化粧で綺麗になれる。
特権だよ?」



