「蒼、大学に行くまで、Fの話したらすごく怒ってたんだ。
でも、今はそんなことない。
Fは楽しいし、優弥ちゃんも、慎ちゃんも、賢くんも大好きだって」
「……蒼、Fのみんなといる時は、すごく楽しそうなので……」
だから、一年で辞めてやるとか、そんなことを思っていたなんて考えられない。
だけど蒼、はじめは嫌がっていたよね。
Fの話題出されたり、碧って呼ばれたりするの。
「唯ちゃんのおかげだよ」
「え?」
その唐突な言葉に、あたしは紅さんをじっと見ていた。
紅さんは蒼に似た瞳を歪め、嬉しそうに笑う。
「唯ちゃんが碧を好きって言うから、蒼は碧を好きになれた。
蒼がそんなことを言ってたよ」
そうなんだ。
そんなことを言ってもらえるなんて、すごく嬉しい。
だって、碧も素敵だよ?
碧の魅力が分からないなんて、もったいない。



