「ねーちゃん……」
何か言いたげな蒼を蹴っ飛ばし、あたしを見て満面の笑みを浮かべるお姉さん。
「ごめんね、唯ちゃん。
こんな寒いところで蒼が突っ立たせて。
さ、寒いから中入ろう!」
自己紹介すらする余裕がないままあたしは家の中に引きずり込まれ……
気付いたら、コタツの中に放り込まれていた。
「あの……あたし……」
おどおどするあたしに、
「気を使わなくていいって!
あたしは紅(べに)。
今年からCAやってるよ」
次から次へと話を繰り出す紅さん。
蒼と同じく、その外見でこの性格だ。
しかもCAなんてかっこいい。
なんだか嬉しいよ。
あたし、歓迎されているみたいで。
「キモ……」
不貞腐れた蒼がポツリと呟く。
すると、紅さんはマッハの勢いでコタツから飛び出し、再び蒼の尻に蹴りを入れる。
そして、
「あんたほどキモくねーよ!!」
続く罵声。
あぁ、すごいエネルギッシュな人だな、紅さんって。



