街はすっかりクリスマスモードで。
至るところにツリーがあったり、サンタクロースやトナカイが飾ってあったりした。
人恋しくなる季節だ。
「唯ちゃん、ごめんね」
不意に蒼が言う。
「クリスマス、一緒にいられなくて」
「ううん」
あたしは大丈夫。
「ライブで会えるからさ」
そう言ったら、ぎゅっと手を握ってくれる。
冬になって手荒れが酷くなり、所々血が滲んでいるその無骨な手。
あたしは、その愛しい手をそっと握り返した。
「ライブ終わったら、遊びに行こうね。
約束だよ」
その言葉が何より嬉しい。
どんなプレゼントより、蒼が近くにいてくれることが幸せ。



