「ご……ごめんなさい」 そう言って現れた人。 あたしは彼女を見て、唖然とした。 目深に被った帽子。 大きな眼鏡にマスク。 紺のコートから覗く身体は、すらっとしていて折れてしまいそう。 彼女はあたしたちを見て、マスクと眼鏡を外す。 その顔は、テレビでよく見る今が旬の女優、松原多恵だったのだ。 その完璧な美貌。 役に溶け込むその演技。 あたしの大好きな女優の一人。 まさか、そんな松原多恵に会えるなんて。