開始三分前。 舞台袖で最終確認をするメンバー。 冗談を言う人なんて誰もいない。 そんな中…… 「唯ちゃん……」 蒼はあたしを抱きしめ、身体を震わせる。 鼓動がすごく速い。 「俺……怖いよ……」 既に蒼の身体は汗ばみ、あたしの身体を抱きしめる手は震えていて。 確かに目の前にいるのは碧なのに、クールでもドSでもない。 恐怖に震えている少年のようだった。 あのステージの時と一緒だ。 いや、あの時よりも酷い。 蒼は極限状態に追い込まれ、パニックを起こす寸前。