「ケン!芽衣!唯!ザキ氏!!」
蒼の友達のハルが彼らを呼び、彼らがステージに現れる。
観客が一斉に湧いた。
お揃いのTシャツに、蒼は賢一とそっくりな姿。
ただ、鼻眼鏡ではなくてサングラスをかけている。
趣味の悪い田舎のヤンキーのようだ。
蒼の緊張はすっかりなくなっていて、軽く手を上げて声援に答えている。
「あのギターの娘、碧の彼女だよね?」
「碧が一ヶ月で鍛えたらしいよ」
「てか、あのベース!
絶対碧だよね!?」
同じ大学の人はいろいろ事情を知っているらしく、そんな話が飛び交う。
「唯ちゃんも大変だな。
碧の彼女ってだけで、相当なプレッシャーだ」
その声を聞き、思わず後ろを向いた。
なんと、そこにはド派手な服を着た優弥がいて。
……優弥、またしでかした。
そんな服装じゃ、変装にもなってないよ。
俺と賢一はため息をついた。
だけど、周りはステージに夢中で。
幸いにも優弥の存在には気付いていない。



