「ううん、大丈夫。
ギターも弾けるよ。
心配してくれて、ありがとう」
笑顔でそう答えたが、やっぱり胸がちくっとした。
蒼は久美ちゃんのことを好きじゃないなんて言ったけど、久美ちゃんはきっと蒼が好きだ。
あの場の雰囲気から、それをひしひしと感じた。
そんな久美ちゃんの気持ちなんて、きっと蒼は知らないだろう。
だけど、もしそれを知ってしまったら……
蒼はあたしの隣にいてくれるのかな?
久美ちゃんは美人だし性格もいいし。
何より、蒼は罪悪感を感じている。
その罪悪感のために、久美ちゃんのもとに戻ったりしないかな?
だけど、あたしは信じるしかない。
唯ちゃんが好き。
蒼がそう言ってくれたから、あたしは蒼を信じている。
「ねぇ、唯ちゃん。
せっかく交代してもらえたし、俺たちも店を回ろうよ」
蒼の言葉に笑顔で頷いた。



