完璧にはいかなかった。 何度も音を外し、リズムを間違えた。 それでも懸命に指を動かした。 ひたすら曲に食らいついた。 間違えるたび曲が崩れ、まだまだだと思い知る。 だけど…… あたしのパートが止まる束の間、蒼を盗み見る。 蒼は軽くベースを弾きながら、あたしを見て笑う。 それで、蒼もいるんだと再認識して。 蒼と一緒に音を作っていることが嬉しくて。 さらにやる気が出るのだった。