そして……
「じゃ、一回通してみよ。
ゆっくりね」
ドキドキドキドキ……
緊張が襲いかかる。
まだ練習だというのに、身体が強張るあたし。
ピックを持つ手が震えていた。
そんなあたしを目ざとく見つける蒼。
「唯ちゃん、力抜いてね。
絶対大丈夫だから」
その笑顔にやられてしまう。
身体が熱くなって、ふにゃーっとなってしまう。
こんな時なのに。
緊張すら、蒼に勝てない。
大丈夫。
蒼がいるから。
蒼が大丈夫って言うから、きっとうまくいく。
練習通りに弦を押さえ、ピックで弦を弾く。
あたしのギターの音はスピーカーを通してスタジオに響き渡る。
少し歪んだ鋭い音。
蒼のギターみたいな力強さはない。
だけど、少しだけ音色が似ていてどきんとした。
そして、近くに蒼がいるような気がした。
あたしのギターにベースとドラムが被り、そしてキーボードも音を奏でる。
前奏が終わり、蒼に教わった通りにエフェクターを踏み、音色が切り替わる。
そして、ハルの歌声が響いた。



