ガチャッ……
玄関先の扉が開かれ、
「うっさい!!消えろ!」
蒼らしくない、キレた罵声が聞こえる。
蒼が怒るなんてよっぽどだ。
だが……
「……ほぉ?
ガキがイキがってやがる」
相手が悪かった。
低くて威嚇するようなその声は、Fのリーダー、優弥さんのものだったのだ。
「珍しいな。
昼間っからイチャコラ中だったか」
図星をついて鼻で笑う優弥さん。
開け放した扉から微かに見えた蒼の背中が震えていた。
「まぁいい。
喘ぎ声の練習でもしてろ」
優弥さんは正真正銘のドSだ。
無茶なことを言って、蒼を困らせる。
だけど、
「マジでキモいよ、おっさん」
蒼も黙ってはいない。
その言葉を軽く流してしまう。
優弥さんの扱い方はお手の物だ。



