「付き合ってはなかった。
だけど、秒読みだった。
久美ちゃんはFとして活動を始めた俺を応援してくれたし、ライブにも来てくれたりした。
だからね、告白するつもりだった。
Fの初めてのCDが発売される日に」
蒼はそう言って、少し悲しそうに下を向いた。
「だけどね、当時俺があまりにも純粋な少年だったから……
優弥がけしかけたんだ。
もっと女慣れしろって。
それで……
まぁいいや、そんなことがあって……」
それで、蒼はいろんな女性を抱いたんだね。
川藤ゆりとか、他の女優さんとか。
好きじゃないのに、強要されて。
「辛かったね」
そう言うと、
「なんで……
なんで唯ちゃんがそんなこと言うの?」
蒼は泣きそうな顔になる。
その顔があたしの胸を引き裂いた。



