「どうしよう……」 海の中から浜辺に連れだしたこの人。 顔に耳を当てるも息をしていない。 夕日が暮れて、もうほとんどと言っていいほど人もいない。 ザーザーと一定に刻む波の音だけがこだまする。 このままだったら、きっと、この人は死んでしまう。 でも、お父様から人に見つかったらダメだって…… どうしても、しょうがない時は、浜辺に人だけ置いて帰って来いと…… お父様、ごめんなさい。 彼の唇に私の唇を近づける。 あと、3㎝、2㎝、1㎝……