ラブレター2

「これ、あげる。」

温かくなりだした頃、君の誕生日が待っていた。

小さな車の中、助手席に座っている彼女へ、後ろから小さな袋を取りだしてから、それを膝へ乗せた。

骨董品で売っていたのに、当時少し流行った、蛍光ランプ。

「おめでとう。」

そんな、柄にも無い言葉も付け加え。

「開けていい?」

可愛い笑みで、そんなことを聞くあいに、いいよ。なんて言いながら、頭を撫でた。

「あー!!」

そう言って、プレゼントを見た後に、僕を見たあいの目を、照れて見つめられなかった。

「一個は、俺のね。」

お揃いの物が欲しい。なんて、女々しいことが言えない僕の、小さな抵抗だったから。

「あいは、どっちの色?」

「俺が、青いの!!」

なんて言いながら、あいにキスをした。

「二十代、最初のキスは、俺の物だね。」

「ずっと、ゆうくんの物だよ。」

その言葉が愛しくて、いつもより長くキスをしていた。

「二つも年上じゃん?」

いいでしょ?と問うあいの声に、

「貴方が生まれてきてくれて、本当に良かった。」

気まぐれに出てくる、僕の本音と恥ずかしさを隠すように、好きだよ。の言葉と一緒に、あいを抱き締めた。

「俺が生まれて、少し経った時には、あいは、もう歩いてたんだね。」

そんな、くだらないことを言いながら、

「でも、マジ、安物でゴメンね!!」

と、手を合わせ、謝り続けてた。

「ゆうくんに会えただけで、嬉しいから。物じゃないよ?」

そんな、変わらない小さな優しさが、僕の中で、今では大きな愛に変わってた。

「ありがとう。」
「ありがと。」

真似すんなよ。と言いながらも、

「本当、お前に出会えて、良かった。」

こんな、些細(ささい)な僕のメッセージが、あいに届いているのかな?と、また、不安に包まれたけれど、その笑顔に、いつも、癒されているから。

「あいもだよ?」

僕の我が儘で、君を傷付けたり、涙させたり、怒らせたりするけれど、分かっててほしい。

「愛してる。」

この気持ち。

「それと、いつも、ありがと。」

この想い。

その、たった、二つだけでも、感じてほしいんだ。

「よーし。帰るか。」

あいの家の前に着き、テールランプを、五回点滅させることは難しかったけれど、また、おやすみのキスをして、おめでと。と言って、手を振り、車を走らせた。

『ランプ、点いたよ~!!』

その時から僕は、青いランプを見つめると、あいと、繋がっている。と、錯覚でも、嬉しかったんだ。