初恋を君に。

慌ただしい4月が過ぎ、5月。

明日、県東地区陸上記録会がある。
私の中学には陸上部はないのだが、代表の選手が選ばれ
この行事に参加する。
聖太はハードルの選手として出場することになっていた。
(わー、練習してるー、聖太かっこいいな)
放課後、そう思いながら3階の窓から外を眺めていると
「美奈子?なーにやってんの?」
「和哉」
「あー、聖太か、かっこいいもんなあいつ。」
「うん……」
「あ、言ってくれば?明日本番だから、『頑張ってね』って」
「いや、無理だよ、和哉何言ってんの?」
私が笑いながらそう言うと和哉が真顔で言ってきた。
「お前、そんなんでいいの?今年終わったらあいついなくなるんだぞ?後悔したって知らないからな」
「えっ。」
「俺は、その、お前を応援してるんだよ、だからその、言ってこいよ」
和哉はそう言うと私の前から去ってしまった。
(和哉応援してくれてるのかぁ。言ってこようかな)
そう思い、階段を降りようとすると
ドンッ