岳の運転は、あの頃よりも遥かに上手くなっていて、安心して乗っていた。
結局行き先は、あの時に行った海と同じ場所になった。
1時間ぐらいで到着した。
まだ、2月の海辺は風も冷たくて、寒い。
けど、なんか落ち着く。
砂浜を岳とゆっくり散歩した。
「寒いね」
「うん。風が冷たい」
「あの時は、秋ぐらいだったかな?」
「そうだな。免許取ったばっかりだったから、それくらいかな?」
「あの時は、丁度いい季節だったね」
「うん。夕焼け見たな」
「あっ!それは覚えてるよ!キレイだった!」
しばらく、海を眺めていると、岳が…
「仕事のこと以外で、悩んでるんだろ?」
「え?」
「わかるよ。男か?」
「…」
「まっ、言いたくなかったら、言わなくてもいいし。今日は、忘れてさ」
「うん。ありがとう」
岳には、わかっちゃうんだな。

