10時ちょっと前に岳は、迎えに来てくれた。
「どうぞ!乗って!」
「うん」
岳の「よしっ!」の合図で車が動き出した。
「どこいくの?」
「ん?決めてない…」
「え?決まってると思ってた!」
「なんか、愛花が元気ないから励まそうと思ったんだけど、なんも思いつかなくて…で、とりあえずドライブかって思って…」
「相変わらず、無計画な行動派だね!」
「そうかな?」
「そうだよ」
「でもさ、俺4月生まれで、1番に車の免許取りに行ったでしょ?
その時、愛花がドライブ連れて行けっていうから、海行っただろ?
その時、ドライブ好きって言ってたし…」
「覚えてくれてるんだ!ありがとう!」
「初めての運転で、めちゃめちゃドキドキしててさ、やたらと車が左寄りだったから、愛花、ギャーギャー言ってたよな」
「そうだっけ?」
岳は、高校の時の細かいことをよく覚えていた。
私、忘れてるな…
でも、お互いの仕事の話とか、懐かしい話が次から、次から次へと出てきて、会話は途切れなかった。

