岳は、タブレットをテーブルに置いて、ソファにもたれた。
「俺さ、高校3年間好きだった子がいたんだ」
「…」
「めちゃくちゃ好きでさ、けど、その子は俺のこと友達としか見てなくて、告白したんだけど、軽くかわされたんだよな」
そんな子いたかな?
なんで、今言うの?
「わからない?」
「…」
「その子に9年振りぐらいに会ってさ、知らないうちに、また好きになってた」
「え?」
「今日もかわされちゃうかもな…」
え?
私?
「でも、ちさきさん…あっ…赤ちゃんは…」
「ああ、あれは俺の子じゃない」
「え?」
「ちさきは、俺の他に男がいたんだ。ずっと。その男の子供」
「え?でも、駅前のスーパーで…」
「その男が実は、俺の同僚だった人でさ…近くに住んでるんだ。
それ聞かされたのが、駅で愛花に会った日」
「でも、あの時は彼女って言ってた」
「なんて言っていいかわからなくて、それで彼女って…」
「岳、浮気されてたんだ…」
「うん。1年ぐらい前から気づいてたけど、別れてほしいって言えなくて…
愛花に会ったら、いつの間にか愛花に惹かれてた。だからあの時に「別れてほしい」って言ったんだ」
そうなんだ…
よかった…

