離れた席に座っていた別の同期に言葉を返して、彼女の方に向き直る。


「はじめまして。俺らOBやのにやかましいやろ、ごめんな。」

「そんなことないですよ。聞いてて楽しいです。」

「何年?」

「二年です。」


嫌な顔ひとつせずにこにこと話す彼女の第一印象は、いい子だなという好感だった。

好みの見た目で中身がいい子っぽかったから、その時点で狙いにいこうかと考え始めていた。誤解を恐れずに正直に言えば、当時二十六歳だった俺はいいなと思う女の子にはとりあえずちょっかいを出していたのだ。


「麻衣子ー、何か飲む?」


彼女の二つ向こうに座っていた女の子が会話を遮った。


「んー、じゃあグレープフルーツジュース。ありがとう。」


麻衣子ちゃんていうのか。いちいち挨拶を欠かさん子やねんな。