そこからも互いの家に行ったり来たり、大きな喧嘩も危機もなく、かと言ってマンネリ化することもなく、日々が過ぎたある日。

麻衣子が隣人にストーカーされたのがきっかけで、同棲をすることになった。

俺の方はとっくに成人だし社会人だし、同棲するという電話一本で親への報告は済んだ。しかし、麻衣子の方はそう簡単にはいかない。


「ううわ、寒っ。まだ十一月やのに極寒やん。」

「北陸だからねえ。」


二十の娘さんと同棲させてくださいと言うのだから、こちらから出向くのが当然だろう。ということで、土日を利用して麻衣子の実家にやって来た。

新幹線と在来線とバスを乗り継いで四時間半、田園風景の中に小高家はあった。