たゆたえども沈まず


黙って、また不機嫌そうな顔をしている。

「あーあ、つまんね」

呟かれた言葉を聞き逃すわけがない。

どんどん皆から遠ざかる。
私が足を止めると、久喜が振り向く。

「何に怒ってるの?」

聞いてみると、口を噤む。こんなにずっと、久喜と一緒にいるのは初めてな気がした。

でも怒ってる所を見るのは、学校にいた時もたまにあった。

「別に」

「久喜、海に来たかったんじゃないの?」

だからわざわざ車を運転してくれる人を呼んだのだと思っている。

波が引いては寄せている。
私の日常には無い音。