後者の可能性が高い。

「それで、どうするの? その女の子と同棲でも始めるの?」

心持ち穏やかではないけれど、久喜と話しているときは大抵こうなので、口調はいつも通り。

部屋の壁に掛けられた時計が日付を越そうとしている。

『あの部屋と腐る程金は貰ったから当分は生きてける』

「その当分が終わったら?」

電話の向こうで『誰と話してるのー?』と甘えた声が聞こえた。背筋が凍って無意識に携帯を耳から遠ざける。

いちゃつき始めた気配を察して、通話を切った。

貰いたかった答えは返ってこなかった。