たゆたえども沈まず


酷いことを尋ねた。

どうして、と私が久喜に尋ねるということは、久喜にその要因があると思っていることになる。

「俺のことが嫌いだったんじゃね」

「……違うでしょ。好き過ぎたんだよ」

「そうなの? よく分かるね、温」

それは分かるよ。と言ってしまいそうになる。

トマトを口に運ぶのを見て、私も半熟のスクランブルエッグを食べた。

「きっといつか、久喜にも分かるよ」

店内に流れている曲は、今流行りのJPOP。放送で何度も流しているから覚えている。

ちょうど店員さんが持ってきてくれたカフェオレと紅茶の香りが、私たちを包んだ。